カタルーニャ国際賞受賞スピーチの全文が毎日新聞に掲載された。
世界中に翻訳され、世界的な作家として登場している村上春樹の言葉はその影響力も少なくない。
そこには「非現実的な夢想家」というテーマで、自然災害と向き合って生きていかなくてはならなかった日本人の宿命と、広島、長崎の原爆被害を体験しながらも、なぜ、今回の原発 事故を防げなかったかを論じている。また「無常」という「すべてはただ過ぎ去っていく」という日本人の世界観の中で、積極的に美のあり方を見出してきたように、日本人が培ってきた「それでもなお生き生きと生き続けることへの静かな決意」と 「そういった前向きの精神性」を抱き、自然被害の被害を乗り越えなくてはならない、と説いているのである。
「言葉を専門とする我々=職業的作家たちが進んで関われる部分があるはずです。我々は新しい倫理や規範と、新しい言葉とを連結させなくてはなりません。」
ここには、作家と社会との関わりを意識する決意のようなものが見えるのであるが、このことは私たちがどのような職業に就いていたとしても、同様のことが言えるであろう。
私は、全体として村上春樹のスピーチに感動したのだが、同時に気にかかる点もあった。