O部員、いつも以上にボ〜ッとした表情で、窓から外を見ています。
M部長が外出からもどってきましたが、気づかないのかそのまま見続けています。

M部長:おい!どうした!大丈夫か?
O部員:あ、部長おかえりなさい・・・。
M部長:どこか具合でも悪いのかね。
O部員:いえ、大丈夫です・・・。 外の景色をみながら、いろいろ思うことがありまして・・。
M部長:なにか変わったものでも見つけたかい? いつもとかわらんが。
O部員:なにいってるんですか部長!
     もう木々の枯れ葉も散って、すっかり冬景色に変わっているじゃないですか! 
     おまけに今日は雪が降りそうだし・・・。
     「ああ、いよいよ全てが静かに眠りにつく季節がやってくる・・・。
     ものみな動きが止まり、しんしんとふる雪の中に埋もれていく・・・。
     全ての音を吸い取る白い結晶が、私の周りに降り注ぎ、
     全ての熱を吸い取る白い結晶が、あたり一面を覆っていく・・・。
     ああ、熱かった私の心も次第に凍えて、白い結晶へと変わっていく。
     静寂の中で、私も深い眠りにつくときが来た・・。」
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M部長:(いつから詩人になったんだ?!) いやにセンチメンタルになっているじゃないか?
O部員:もう寝ようかと・・。ああもうだんだん意識が・・・。おやすみなさい・・。
M部長:おいっ! 眠っちゃだめだ。 しっかりしろ!(・・って、イカンいかん。うっかり乗せられたわい。)
     こらっ寝るな! まだ仕事中だぞ!
O部員:へへへ、すみません。つい・・・。
     それにしてももう年末ですね。  ♪も〜いくつねると、お正月〜♪
M部長:ははは、子供みたいだな。 お正月が楽しみかい。
O部員:違いますよ。 憂鬱なんです。 それにお正月の前にもう一つ難関が・・・。
M部長:難関?なんだいそれは?
O部員:恐ろしいんです。世の中の人たちが突然変わってしまう。
     皆変身してしまうのです・・。 これに耐えられるか心配なんです。
     わたしにとって、大変苦しい問題なのです。
M部長:なんだか穏やかでないな。新型インフルエンザの問題じゃなさそうだし・・。
O部員:とにかく周りが元に戻るまでは、わたしはどこかに隠れていたい・・・。
M部長:なんだか知らんが、相談に乗るぞ。 あまり力になれんかもしれんが。
O部員:ありがとうございます。 でも・・もう手遅れでしょう。
    部長もきっとすでに変わりかけています・・・。 ああ、おそろしい・・。 ある日の朝、目覚めると・・・。
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M部長:(変身?*1) 盗まれた街?*2)  フォース・カインド?*3) ) おいいったい何なんだ!
     はっきり言ってくれ!
O部員:驚かないでくださいね。
      世の中全員がこの時期になると急に・・・クリスチャンになってしまうんです。
M部長:クリスチャンに・・って?!  おいおいそれは日本のクリスマスに対する皮肉か?
O部員:だってクリスマスはキリスト降誕のお祝いでしょう。
    クリスチャンのお祝いなのに、関係ない人もみんなお祝いする。 
    まあお祝いするのは良いのですが、それならどうして他の神様や偉人の誕生日も
    大々的にお祝いしないんですか?
M部長:まあそれは確かにそうだが。 でもいいじゃないか。
     親しい人や仲間と楽しいひと時が過ごせれば。
O部員:問題は変身することではないんです。 プレゼントなんです〜。
     わたしは彼女にいったい何をプレゼントすれば良いのでしょうか、部長・・?!
     ああ神様教えてください〜!
M部長:それは私が聞きたいよ、まったく・・・。
     ところで君、彼女いたっけ?
O部員:・・・・・・。
続く。

みなさん良いクリスマスをお過ごし下さい。
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*1)変身:フランツ・カフカの代表作。
  ある朝目覚めると巨大な毒虫になっている自分を見つけた男と家族の顛末。
*2)盗まれた街:ジャック・フィニイ原作の侵略SF。原題INVASION OF THE BODY SNATCHERS
*3)フォース・カインド:現在公開中の映画。 第一種、第二種、第三種そして第四種接近遭遇となる。
  実際にあったことかどうかは・・?