今回は某学校からインターンで来ているT研究生が初登場!
先輩のO部員、かっこいいところを見せようとしますが・・・。

T研究生: あの…、すみません。 研究室のTですが。
      M部長はいらっしゃいますか?
O部員: あ、いま会議中で席はずしてますよ〜。
T研究生: そうですか。あの、これM部長にお渡しするように
      Sさんからたのまれてお持ちしたのですが・・。(Sさん→第三話第四話参照)
O部員: お持ちしてくださったのね・・ってか、はははは。 預かっておきますよ。
      ところで何ですかこれ? どれどれ・・。
T研究生: あっ壊れやすいので取扱い注意でお願いします。 
O部員: なんだか小さなものがはいっているな〜?!
T研究生: 模型ですよ。今度の展示会での目玉にしたいというM部長のご依頼だそうです。
      僕もあまり詳しく知りませんが、なんでもずいぶん手間とお金がかかったとSさん
      ぼやいてましたよ。
O部員: 何の模型かな?なんか細かい穴がいっぱいあるな。どっかで見たような形だな。
      ボルボックスかな。それとも何かの卵・・・かな?

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T研究生: 新しいコンセプトの建物の模型だそうです。設計は終了しているので、それをもとに
      作ったそうです。
O部員: ずいぶん細かいな。手作業では大変だったろうな。
      (最近ちょっと疲れ目かな?細かいところが良く見えないぞ)
T研究生: 手作業ではないそうですよ。CADで作成した図面から直接作製したそうです。
      今はBIM*1)で意匠設計、構造設計、干渉チェック、施工管理などのプロセスを
      コンピュータ上で行いますからそのデータを利用したんだと思います。
O部員: ビ、ビムね。(BEMなら知っているが・・・。*2))
     ところで、実際の建物の大きさはどのくらいなのかな?
T研究生: スケールは1万分の1だそうですよ。これは5mm角くらいですから実物は約50m
      ですかね。
O部員: 500mじゃないの?
T研究生: 50mですよ。 1mm=1/1000mですから、一万倍だと1mmが10mになりますか
     ら。それに500mの建物っていったら…ものすごい大きさですよ!
     ピラミッドの倍以上ですよ。
O部員: そ、そうだな・・。50mだ。うん。ち、ちょっと勘違い・・・。(話題を変えよう)
     この小さい点々は窓かな?
T研究生: 柱と柱の空間だと思います。窓は100ミクロンくらいになりますからこんなに良く
      は見えませんよ。
O部員: ひ、ひゃくミクロンね。白血球や赤血球の世界かな、ミクロの決死圏だ〜!*3)
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T研究生: 白血球や赤血球はもう一桁小さいですよ。10ミクロン前後で肉眼では見えません。
O部員: ・・・・。(もっと話題を変えよう)
     ところで、これはこのままではよく見えないなぁ。特に年寄りには無理だな。
     虫眼鏡がいるね。
T研究生: たしかに細かいところは見えませんね。これはお年寄りでなくても無理ですよ。
     Sさんとは実体顕微鏡で100倍くらいに拡大してプロジェクターで投影しようか
     と話しているのですが。
O部員: じ、実体顕微鏡ね。(普通の顕微鏡とはちがうのかな?)
T研究生: いっそSEM*4)で見ようかという話も出ています。
     そのほうがきれいに見えるし。
O部員: セ、セムって電子顕微鏡だったよね。ずいぶん大掛かりな機械でなかったっけ? 
T研究生: 今は小さな卓上型の物もあるんですよ。今回は倍率も低くていいし。
     模型はセラミックだから導電処理がいるな。まあ通常の金コートでいいか・・・。
O部員: えっ? き、金?
T研究生: ええ、電気を通すようにするために金とかプラチナとかコーティングするんです。
O部員: 金とかプラチナね。(なんだが金目の話になってきたぞ!)
     その装置なんでもコートできるの?
T研究生: ええまあ。でも・・・。
O部員: じゃあこれちょっとやってもらえないかな? 昼飯おごるからさ〜。
T研究生: いいですよ。でも・・・あの・・・。
O部員: 宜しくね! さあSさん寂しがってるからそろそろ研究室にもどったら?
T研究生: はぁ・・・。 あ、模型宜しくお願いしますね。
O部員: 大丈夫、大丈夫! 宝物のよ〜に大切に扱いますよ。じゃぁ〜ね〜。
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体よく外に追い出されたT研究生、研究室に戻る道すがらぶつぶつ言ってます。
“これっていいのかな〜? それに金コートといってもこするとすぐに
  取れてしまうんだけどな〜。まあいいか・・・。でもなぁ〜・・。”

さあO部員はいったい何をT研究生に渡したのか?
そして無理難題?を言われたT研究生はいったいどうするのか? 
いよいよ明らかになる驚愕の事実!O部員の命運やいかに?
次回第七話をお楽しみに!(…するほどでも無いです…ね。)

おそらく続く・・・と思います。    
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*1)BIM:ビム。Building Information Modeling 
   コンピュータを利用して建物データを作り管理するシステム行程のこと。
    単なる図面作成のためにコンピュータを使うのではなく、
    意匠設計、構造設計、さらに施工など建築に関する全ての工程に必要となる環境条件
    (空間、地理、建物の要素、数量、などの全データ)を統合して建築を行う。
*2)BEM:ベム。古いSFに良く出てきた目玉のおおきな怪物。
*3)ミクロの決死圏:医療チームを乗せた潜航艇を縮小して人体に送り込み、事故にあった
    重要人物を救おうとする、1966年の米SF映画。
*4)SEM:セム。Scanning Electron Microscope 走査型電子顕微鏡のこと。
    電子線を試料に走査しながら当てて、そこから得られる様々な情報を画像にする。
    物の表面の形状を見るのに適している。