建築監督科記念イベントが、去る7月24日に行われました。
前田建設工業の岩坂 輝之氏を迎えて、<仮想→実現課の目的 現実→仮想化の未来>として講演いただきました。次年度進学予定の高等学校生12名を含み、イベント反応者、教職員、在校生合わせて40名強の参加者があり、みな引き込まれるように耳を傾けていました。

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一般に知られる、「前田建設ファンタジー営業部」が如何にして誕生したか、またどのような発展を遂げたか、「実社会での仕事」という視点も交えて、わかりやすくお話しいただきました。

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年齢層も18歳から60歳を超える方まで多岐にわたりましたが、参加された皆さんに、「とても良い講演会であった」と感想をおっしゃっていただきました。
本日も、参加した高等学校生から「始めはマジンガーZがわからなかったのですが、聞いていくうちに引き込まれて、興味深く聞けました。建設業でぜひ身を立てたい」と感想メールが届きました。
講演のなかで、事例を紹介するなかにおいて、これから「専門」を目指そうとする生徒、学生へのメッセージとして、どのように「仕事」をみつめどのように「仕事」をしていったらよいのかというお話しもしてくださいました。講演も終盤でしたが、広告代理店である電通の「鬼十則」を取り上げておいででしたが、その中の第一項目である

<仕事は自ら創るべきで与えられるべきではない>

という項目が示されました。この点について具体的なことを示すに十分な講演内容でしたので、みなさん大きくうなずいていらしたようです。

また、これから職業を選択するための一歩としての「専門」の選択という点において、<「働く」のはなぜですか>というお話しの中で、社会の求める、企業の求める良い人材とは「働く意味を深く考える人がいい」「目標をもって、問題がおきた場合でも、問題解決に向けて創造性をもって取り組める人が望まれている」のだというお話しは、聞いていた高校生にどのように伝わったのか、興味深いところですが、このことについて、その後感想を伺った高校生は、「少し難しかったけれど、具体的な仕事の進め方などを聞いて「働く」ということがなんとなく分かったような気がする」といっていました。
建築監督の仕事について、様々な部門、部署を調整して纏め上げるという仕事が、岩坂さんが行ってきた「ファンタジー営業部」での活動とラップして、分かりやすいお話しになっていたと思います。

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岩坂さんは「自律的に仕事をする人」になって下さいとまとめてくださいました。

また、この「働く」というお話は、岩坂さんがご自身が、いかにして企業内貢献(これは後に他ジャンルのプロを巻き込んで大きなムーブメントになっていきます)を果たそうとしたかのプロセスを伺って、より明快に伝わりました。

社内でこの企画に着手(実現)するための条件として、「結果がでなければ1年できっちりと打ち切る」「通常業務時間外で行う」との約束の下スタートさせたとお話しされています。
勤務時間外でそれに当てた時間は月80時間を越えたとお話しされていますが、大変な努力であると思います。この企画はWEB上で展開するバーチャルな世界ですが、会社への要求として前田建設工業のホームページ内に立ち上げるという約束をして開始されたそうです。

岩坂さんはじめ、若手(開始当時は2003年3月からですから6年前になります)社員が、会社の知名度アップのために行ったとのことですが、始めは、前田建設工業の宣伝、建設業界の認知度、または興味を上げていくためのものであったようです。WEBで盛り上がり、ヒット数も従前の3倍以上に増える中、様々なところで取り上げられるようになり、「Web of the year」をお受けになったそうです。

いままでの「ファンタジー営業部」のお仕事は前田建設工業のHPをご覧いただくのが一番よいと思いますのでここで詳しくお話しするのは避けます(第1弾、第2弾は本になっており、WEB上では見れません)古い順で並べてみます

1.マジンガーZ格納庫
2.銀河鉄道999
3.グランツーリスモ4
4.世界初、民間国際ロボット救助隊を創ろう

現在始動したNEWプロジェクトは

5.CDSタイムマシン「皆の力を合わせて世界初のタイムマシンを創ろう」

だそうです。



今回の講演は、こうしたバーチャルな活動が現在行われている「現実」の仕事へ結びつくものが存在していたというお話しがありました。

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ソニーエンタープライズのTVゲームである「グランツーリスモ4」では、ゲームに登場する「グランドスタンド」は前田建設工業の設計だそうです。ゲームの中に3D−CADで建物が設計されています。この建物のCGを起こしたのは、実は私たちの卒業生です。女性ですが、ファンタジー営業部の仕事も手伝っているとのことでした。こうしたファンタジー営業部の3D技術は、現在前田建設さんが取り組んでいる3Dで行う設計に結びついているとお話しされています。

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今までは、設計図があって、3D、パース、模型が出来ていた。前田建設工業は3Dで「構造」「意匠」「設備」を起こして、そこにウォークスルーして計画を検討する。施主にバーチャルで建築概要を知らせることができ、デザインや施工での問題点が事前に分かりやすく(とくに素人であるクライアントに対して)検討でき、わるいところは訂正がきく。問題を最小限に抑えた状態で、初めて「図面」化される。という方法を採用していて、今後、会社として主流になり、また社会的にもムーブメントになっていくだろうとお話しされていました。

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今年の3月に「BIM」界のFIグランプリといわれる「Build Live Tokyo 2009」
を前田建設工業がとったニュースは業界で大々的に流れました。一般の方、特に高校生にはあまり伝わっていないと思いますが、48時間で設計を仕上げる、過酷な競技です。詳しくは次の機会にお話ししますが、今回の講演でお話しされた「仮想」と「現実」を<仮想→実現化の目的 現実→仮想化の未来>としてまとめてくださり、アニメという楽しさを通して、現実化として仮想化の未来が「仕事」に繋がっているのだという、夢のあるお話しでした。

銀河鉄道999の発射台では、レールを支える柱脚のくだりが大変面白かったのですが、アニメのように細長い柱脚を作るには・・・といろいろと苦労されたお話しでしたが、軽く作りたいので「鉄造」とすることを考えていたのだけれど、連載のなかでこの柱脚が壊れる場面があって、それを見ると、「鉄造」ではなく、「鉄筋コンクリート造」であることが判明し、それに対する構造計算が大変であったとお話しされています。また、アニメで描かれる柱脚に飾りがついていて、ただでさえ重い鉄筋コンクリート造をされに重くているのだとお話されましたが、前田建設工業の皆さんはその飾りを逆手にとって、振動が加わったときの減衰装置であると解釈して「アクティブ・マス・ダンパー」として設計に入れ込んだとのお話しはとても面白かった。実際には「地震」対策として使われている装置ですので、大変上手な解釈をして対応していると感心しました。

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大変面白いお話で、あっという間に時間が来たといった感じでした。質疑応答の時間をとりましたが、参加者から「本を買いました!」とのお話に、ほほを緩めていらっしゃいましたが、参加者の質問にもとても丁寧にお答えいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

どうもありがとうございました

31日にはオープンキャンパスですが、「建築監督科」は清水建設の技術研究所(SOA)に見学に行きます。この研究所では、まさにこの「地震」対策として工夫されている現物をみることが出来ます。

岩坂さんもこのお話しのなかで、清水建設技術研究所のことにふれてくださっていますが、まだ席に余裕がありますので、参加したい方はぜひお問い合わせください